ユーロ下落

昨日、ユーロ・ドル、ユーロ・円は下落しました。理由は色々と語られていますが、総合すると
1.米大手企業が本国投資法に基づき、資金の一部を米本国に戻すと発表した。(本国投資法:ブッシュ政権が施行した法人税減税措置で、海外で活動する企業が米国内での新規雇用、研究投資などの本業投資に限り、海外で上げた利益を米ドルに還流、本国投資に当てた場合、減税するとの時限立法。なお、各通貨に与える影響は、ユーロからの還流が30%強、円への影響は少ないと見られている。)

2.中国元の切り上げ報道がグリーンスパン議長の議会証言を前に流れた。

3.ユーロ・ドルの1.2000ドル手前での通貨オプションの防戦の買いがそれほど厚く設定されていないではないかとの読みがユーロ弱気センチメントに火を付けた。ユーロ・ドルは1.2100、1.2070、ユーロ・円は131.40、131.00の損きり注文をタッチしながら、売りが加速した。しかし、1.20前半には東欧の買いが下落に歯止め、売り手の買戻しで1.2070まで戻したが、その上のストップを付けることなく反落。ユーロ・円は130.60近辺の注目サポートラインは堅持された。ユーロ・ドルの1.2000割れが回避されたことと、中国元に関する議会証言も新味に欠けたことで、膨大な金額のユーロ・円の売り手が買いに回わり、131.25まで反転上昇した。しかし、こちらもまた、ユーロの戻りの弱さもあり、限定的な戻しに留まった。ドル・円は、ユーロ売り・円買いが非常に活発になったことを要因にして、一時108.50を割ったが、円買いが一段落するとドル買いが活発化。下値での輸入と潜在的な日米金利差からの円逃避資金がドル・円の下落を抑えた。同時に109円前半での輸出の売りはそれ程多くないとの観測も浮上しているようだ。

ユーロ・ドルは1.2000の下に大量の損きりの売りがあるとの話もある。オプションプレイヤーのユーロ買いも1.1980-30の間にあるとの話もあるようだ。1.19には大きな買いも。ユーロ・ドルのセンチが下向きであるので、ドル・円も109.50円を目指してもおかしくないのだが、ユーロ・円の円買いが上昇ペースを阻むように思っている。昨日、資源価格は上昇、金価格の上昇にも拘わらず、米ドル高となり一般に流布する見解とは異なる減少が続いている。また、資源通貨は下落。豪ドル、NZドルは下落が激しかった。

付言し、欧州中銀による利下げが話題になっているが、個人的な見解を先に申せば、利下げの可能性は低いと思っている。ECBは域内の個人消費者物価指数と通貨供給量M3の推移を重視しており、潜在的なインフレ圧力を考慮すれば、トリシェ総裁、イッシングチーフエコノミスト(独ブンデスバンク出身)は”外圧”に屈しないであろうと思われるからである。

No comments:

Post a Comment

Nikkei225

28000-28550 up in the early session, down lately.