昨今のドル高要因を再考する(その1)

まず、米ドルの反対にある欧州単一通貨ユーロを考えることが米ドルの過去、未来を探るのに相応しいため、ユーロ・ドルの展望してみる。
本来ならば、ドル・円でと考えたが、ご承知のとおり、日本株、日本国債、日本外為市場などの東京市場は外国人から見れば、超巨大なローカル市場にすぎない。また、ユーロ・ドルは、世界で最大の取引規模を誇り、この通貨を知らずして、為替のプロとは言えないし、ユーロに関し、海外勢の動向を示す情報が多く、ドルが上昇したり下落する場面ではユーロ・ドルが先陣を切って走る。ドル・円はユーロを見ながら、右往左往する傾向が強い。為替を見るなら、まずユーロを知るべきであろう。

そう意気込んでみたところで、ユーロ安・米ドル高の要因を示す。
1.今週末予定の欧州憲法に対するフランス国民投票の世論調査で反対票が過半数を占めている。EUの盟主であるフランスが足元でふらついている。

2.米景気が堅調に見えるに対し、ユーロ圏はドイツ、フランス、イタリアなどの景況感が悪化。24日、25日発表のドイツZEW,IFOに注目。

3.米FRBおよそ1年間で政策金利を1%上げた。一方、欧州中央銀行は、政策金利を2.00%で据え置いている。25日FOMC議事録公開。

4.米系ファンドのレパトリ解消の動きが非常に活発。いろいろ理屈を付けているが、現在のドル高は世界的に自国への資金還流が活発化していることが根底にある。先進国の脱デフレは容易ではなく、活況に見える米経済さえ景気のピークは近いと思われる。米長期金利は下落。短期金利は上昇。すなわち、米金利曲線はフラット、米系ファンドは新興市場投資引き上げ、無リスク金利である米債買いに忙しい(これは本当は間違い。ヘッジファンドは資本が小さいので現物を買える訳ない。彼らは、先物やレポ取り引きを行う。)ユーロ系ファンドも同じ。ユーロに資金を戻している。

指摘した構図は、米系ファンドの米国への資金還流量がユーロ圏ファンドのそれを上回っていることが主要因と考えている。これが端的な米ドル高の要因と思われる。


昨今のドル高要因を再考する(2)

日本時間の明朝未明に公表される前回FOMCの議事録に関しては、それほどど市場に影響を与えるものではないと考えている。
米FRBがインフレ圧力についてどの程度まで認識しているかを探る意味では、大切な指標になりえるが、米国市場は、インフレなき経済成長を織り込んでおり、米株は上昇、米金利は下落している。
付言するとやはり、原油市場の動向がより重要と思う。原油価格(WTI)が50ドルを超えるレベルで取引されると上述のインフレなきの文言に疑問符が付いてくる。先だって、台頭していたスタグフレーション(金利上昇と景気後退)の恐れが再度、懸念される可能性が高いと思っている。

グリーンスパン議長は指摘しているが、米住宅市場はバブルの様相を呈していることは否めない。南部を中心に住宅ブームは続いているし、米家計部門の不動産担保による借り入れ率は高率、またファニーメイ、フレディーマックなどの住宅金融はグリーンスパン議長が警告するほど、そのバランスシートが痛んでいる。

かたや、燻る原油高、住宅バブル懸念に対応しながらも、実体経済はディスインフレへ突入か。2005年度の米GDPは3.5%程度と考える。

したがって、景気後退懸念と原油高による悪性インフレを考えれば、米政策金利は4%程度、あと4回の利上げで打ち止めと思われる。


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