所謂レポートと言うものの感想

一見すると実直に見える為替レポートがあちらこちらに出回っているが、やはり実務(インターバンク)の経験の有無が見え隠れし、実務家からするとどうしても付言したくなる。

WTIが60ドルを越えると外準がらみのオイルマネーは米ドルからユーロにシフトすると言う傾向があり、実際に今般もその傾向が明らかとなった。ここまではいいが、オイルマネーが大量のユーロ買い・ドル売りをする際、当然誰かがプライスを提示している。
インターバンクの一員である大手銀行や投資銀行は普段(不断)の取引先である中東系の顧客に金融サービスの一環として、外貨の情報提供、実際の取引を仲介している。優良な金融機関であれば顧客と絶えず情報交換し、顧客の動向を把握するよう努めなければならない。

為替の実際の取引では、例えば、顧客がユーロ・ドル500本の建値を提示要求してきた場合、ディラーは1.2230-40のようにプライスを提示する。顧客が買ってきた場合は、当該ディラーは当然瞬間的にユーロ売り持ちとなるから、金額の大きさ、顧客の市場に対する影響力を考慮し、売り持ちを解消しつつ買い持ちに転換するため、最低でも501本以上のユーロ買いをat bestで行うだろう。その後は瞬間的なユーロ買いの連鎖が次々と起こり、あっと言う間にユーロ・ドルは1.23を越えて上昇してしまう。最初にプライスを提示したディラーは影響力の高いオイルマネーがドルを売っている事実を取引しリスクをとることで情報優位に立てる。ついでに他の通貨にもドル売りを持ち込んで、最初に仕掛ける優位さを保つ抜け目なさも忘れない。

すべてがこう言った調子で進むわけではないが、為替レポートはなにも経済指標に反応して上がった下がった言う説明に終始する必要はないし、それではいかにも外部で反応していると言う感想しかもてない。実際に起こっていることを把握することが重要だ。

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