NZ中銀の苦悩(2)

ボラードNZ中銀総裁は経済成長より、国内のインフレ圧力に苦慮しているようだ。今回の利上げを「インフレターゲットに沿うよう中期的には1%-3%のバンドに収まるための措置」と述べ、今後のインフレ指標次第で再利上げの可能性を示唆している。

当ブログの表題であるように、今回の利上げでNZ中銀からすると「NZドル高はファンダメンタルズを反映していない異常なもの」であるにも拘らず、利上げに踏み切らざるをえなかった。驚きを持って迎えられた利上げによって、NZドル/米ドルは先週に0.86ドル前半まで上昇。今週月曜日にNZドル売り介入によって、0.84ドル台後半まで押し下げた。政策的には矛盾があるのは明らかだ。利上げは単純にその高金利を求めて、NZドル買いを誘うだけだ。中銀にとっては利上げと介入は苦悩である。矛盾しているからだ。さらに同国では、本邦投資家向けに債券さえ発行している。しかし、米利下げ観測の後退や昨日の米10年債の入札が不調に終わり、10年債は5.2%台で取引されるなど世界的にインフレの季節が訪れていることはNZ中銀には幸運なことかもしれない。

昨日、NZ中銀はNZドル/米ドルの0.8530ドル付近でレートチェックをしたと噂されている。現時点で0.84ドル台後半で取引されている。市場では、再介入があるかないか議論されている。筆者の意見は再介入はあるである。再介入なしの意見には、NZ中銀の介入のメッセージが機関投資家やファンドなどのプロには届くかもしれないが、高金利だけをもってしてNZドル買いに向かう本邦個人投資には届かないとするものもある。しかも、6月はボーナス時期で投信などを通して、邦人の膨大なマネーがNZドル/円を下支えする可能性は高い。そうは言っても、米ドルの市場金利が上昇している以上、NZドル/米ドルは下方に自立反転する可能性が高く、それを狙ってNZドルの反発上昇局面では上値を押さえるため、中銀は何らかのオペレーションに出ると思われる。また、世界的なインフレの季節は円キャリートレードの狂乱を醒ます方向に作用すると考える。

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